Interviewインタビュー

ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』
神田 沙也加さん インタビュー

“初めてという方にこそ観ていただきたい きっと最後には立ち上がって歌ってもらえるはず”

ゴシックな世界観とコメディ、ハイテンションなフィナーレが話題を呼び、大阪での初演時には全席完売の熱狂を巻き起こしたミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』。ヴァンパイアのクロロック伯爵に誘惑されるヒロイン、サラを演じるのは、かねてより本作のファンであったという神田沙也加さん。作品の魅力や念願のサラ役に込める思いなどを伺った。

―まずは、この作品の魅力を教えてください。

始まり方としてはゴシックな雰囲気なんですが、フィナーレには会場全体を巻き込んでお祭りのような騒ぎになる、客席参加型のミュージカルだということがこの作品の魅力だなと思います。コメディとして考えてもいいと思うんですよね。クロロック伯爵役の山口(祐一郎)さんはいらっしゃるだけで迫力もオーラもすごくて、皆さんかっこいい方ばかりなのに、チャーミングに見えてきたりもするミュージカルですね。

―サラを演じることは、神田さんの以前からの目標だったと伺いました。

ミュージカルは、演じるのはもちろん、元々観ることも大好きで、「自分はこの中のどの役柄ならできるかな」と考えながら観るのが癖なんです。初演のときから、サラはキャラクターや曲の音域も含めて、「もし自分がやるとしたら」という目で観ていました。私はお客さんの立場ですから、再演があるかどうか、もちろん知らなかったんですけどね。小悪魔的な可愛らしい魅力があるのがサラだと思うんですが、私としてはこちらから仕掛けていくような感じではなく、何も知らないイノセントな危うさが結果的に生み出す、小悪魔的な少女性を色濃く見せたいかなと思っています。

―Wキャストの舞羽美海さんは「セクシーに」という演出があったということですが。

美海ちゃんにそういうオーダーが出たのであれば、今回のWキャストでのセクシー担当は美海ちゃんなんですね(笑)。対比が出た方が面白いので、今それを聞いて「よし私はよりイノセントでいこう!」と思いました(笑)。

―以前から好きだった作品に出演者として参加し、解釈や印象に変化はありましたか?

ひとつずつ答え合わせをしているような気持ちですね。気付かなかった台詞の解釈やフレーズの意味が、今見えてきているところです。サラって思っていた以上に我も強いし、非常に気が強いということを、歌稽古で繰り返し言われていますね。自分が知らない外界に憧れるヒロインって、どうしてもウルウルッと涙目で外を眺めるような、か弱いイメージを持たれがちですけど、そうではなくて、自由への渇望を持っている女の子であるということを教えていただき、非常に勉強になっています。

―クロロック伯爵と青年アルフレートの両方に求愛される役柄ですが、ご自身ならどちらを選びたいと思いますか?

私はやっぱりクロロック伯爵が素敵だなと思いますね。無知な状態のときって、自分が知らないことをたくさん知っていそうな方とはいっぱい話してみたいと思いますし、教えてほしい、知らない場所に連れてってほしいと思うじゃないですか。そういうところが私にもあると思うので、伯爵がいいですね。喜んでついていきます(笑)。

―楽曲についてはいかがでしょうか?

複雑で一度聴いただけでは覚えられないという感じではなく、なんだか昔から知っていたかのような馴染みやすさを感じていただける曲だと思います。遥か海を越えたところで作られたものなのに、とても日本人が歌いやすくて、日本語の乗りやすい旋律だなと思いますね。

―特にお気に入りの曲は?

やっぱり2幕冒頭の「愛のデュエット」でしょうか。最初に「私を呼ぶのは誰?」と繰り返して、混沌の中で歌うような曲だと思っていたら、ロックバラードだという説明をされて「なるほど」と思ったんですよね。それは自我をしっかり持った女性が歌うにふさわしい曲調でもあるし、愛といってもきれいな愛ではなく、激しくて中で燃えたぎるような愛というか。サラの伯爵様への憧れと、伯爵様がサラに求める血への渇望がバチバチとぶつかり合う激しい曲なので、「愛のデュエット」は歌っていてとても熱くなりますね。

―舞台・映像・音楽など、多彩な活動をされている神田さんにとってミュージカルとは?

私は宮本亜門さん演出の『Into the Woods』が初舞台なんです。歌いながら演じることはすごく楽しくて、あらゆる可能性に溢れているということを、亜門さんが示してくれなかったら、多分やっていませんでしたね。歌も芝居もダンスもと、いいとこ取りをしているような気持ちになったんですよね。こんなことができますというアピールの場でもありますし、自分の知らなかった一面を初めて知るという場でもあるし。そういうことが尽きることが無いので、年齢に合った役や作品をやるたびにいつも新しい発見があるジャンルですね。

―現在音楽ユニット『TRUSTRICK』としても活動中ですが、ミュージカルで歌う時とユニットで歌う時の差はありますか?

ユニットに関してはオリジナルの新譜を出す唯一の場なんですけど、ミュージカルは作曲家の先生が作られた曲を役として全うするというふうに、使命が違うんですよね。より力を抜いて、楽しむということに特化できるのはオリジナルの方ですかね。対照的な活動をすることで、音楽や歌への誠意を失わずにいられるのかなと思います。毎日やっていることが違ったりするので、時々頭の整理が必要になったりもするんですけど(笑)。でも一気にやりたいと思ってやれることではないので、充実していると言っていいと思います。

―オフについても聞かせていただきたいのですが、どのように気分転換をしていますか?

最近発見したんですけど、漫画喫茶に行って狭くて暗い所で一人で漫画を読んでるとすごくスッキリするんです。ひとりっ子なので一人の時間があると良いみたいですね。お仕事でいつも人と関わっているので、完全に一人になってちょっと気持ちを休める時間も必要なのかなと思います。

―神戸にいらっしゃったことはありますか?

一度、歌のイベントで行きましたね。私は自然がいっぱいあるところに伺ったんですけど、その夜は神戸牛をいただいたのですが、今まで食べた牛肉の中で一番美味しかったですね。

―最後に読者にメッセージをお願いします。

この作品は、ミュージカルが初めてという方にこそ観ていただきたいですね。きっとミュージカルのことを好きになっていただけると思います。敷居の高くないウェルカムな舞台なので、きっと最後には立ち上がってクラップして歌ってもらえるはずです。お友達を誘って、皆さんで観に来てほしいなと思います。神戸にはお休みができたら旅行に行きたいです。神戸の街は品格があるイメージなので、お散歩とかするととてもスッキリしそう。なので、是非見かけたら声をかけてくださいね。

Profile

<神田 沙也加>
1986年10月1日生まれ。01年5月CMでデビュー。04年に宮本亜門演出『Into the Woods』で初舞台、09年『レ・ミゼラブル』でコゼットを演じ、舞台を中心に音楽・映像など幅広く活躍。14年、映画『アナと雪の女王』日本語吹替版でアナ役を担当。現在、音楽ユニット『TRUSTRICK』のボーカルも務める。