Interviewインタビュー

舞台『夜への長い旅路』
満島 真之介さん インタビュー

“絶対離れられない根本的なつながり。そこが家族の面白いところです。”

ノーベル賞劇作家 ユージン・オニールが、自身の凄まじい家族関係を描いた自伝劇『夜への長い旅路』。9月に上演される舞台で、病弱な弟エドマンドを演じる満島真之介さんに、舞台への思い、そして自身が思う家族というものについて話を聞いた。

―最初に台本を読まれたときの感想は?

内容は悲劇的なんですが、それが中心なのではなく、無くなることのない深い愛情に包まれた家族の話なんだということを感じました。最初に原作を読んだときはそんなふうには感じられなくて、「重いなあきついなあ」と思ったんですが、上がってきた台本を読んだときはそう思いました。それぞれがぶつかるのも愛情が深すぎるからこそ、愛の叫びだと僕は思っています。愛が無ければ言えないし、できないことですよね。そこを演じるのはとても難しい事ですが。

―作者であるユージン・オニール本人を投影したエドマンドという役柄については?

フィクションの戯曲ではなく自伝ですから、オニールにもきっと並々ならぬ思いがあったと思います。オニール自身の思いと家族への思い、そして作家としての言葉が入り組んでいて…。客観的に見ている部分と、これを体験した人にしか書けない言葉や感情という複雑なものが、この役の中にはたくさんあり、「これを書かないと僕らの家族は本当に崩壊してしまう」というような感覚を、この役柄には感じましたね。

―役作りはいつもどうされていますか?

役作りの方法で確立したものは僕の中には無いんですが、僕の場合は自分の身体や人生の流れと作品というのが一致しすぎていて。全部来るべき時に来ているような気がします。だから、それを感じられる自分を作っておくだけなんですよね。今回も「家族というものは何なのか」、実生活も含めて考え始めている時にこれが始まったので。全部リンクしているんですよね。

―昨年ご結婚されて、家族の形がご自身の中でも変化されましたよね。

そうですね。自分が親になる準備ができて、ひとつの家族を作ったんだなという不思議な感覚があります。息子だった自分が夫になったり父になったり。そういう流れを自分の中で感じながら、自分が父親になる前にこの芝居をやるということは、とても大きいと思います。

―共演者の方々の印象はどうでしょう?

母親役の麻実さんは僕の本当の母親みたいな人で、役者とか以前に麻実れいさんという方と出会えたことは、人生においてもとても大きなことだと思っています。こんなに深い愛情が生まれるのは何なんだろうと思うくらい。そういう僕らにしか出せないものがあるだろうなと思うので、それは大切にしていきたいですね。そして、父親役である益岡徹さんの優しい顔から強い言葉や感情が出てきた時にどれだけ恐ろしいのかということや、田中圭さんみたいな柔らかい雰囲気のお兄さんが堕ちていく様というのはどうなるんだろうとか、男同士のぶつかり合いも楽しみにしています。それぞれの強い部分や弱い部分、それを全身全霊で出せるような関係性を、この4人でなら作れるだろうという気がしています。

―お姉さんである満島ひかりさんともとても仲がいいということですが、舞台の内容がご自身の家族や兄弟と重なるという部分はありますか?

バッチリ重なりますね!僕らは4人兄弟で、僕は弟もいるので、田中さん演じる兄のジェイミーの気持ちもよくわかるし、弟の気持ちもすごくよくわかるような気がします。自分が親に厳しくされて、それを我慢していたり、弟が僕に対して同じように我慢していたりと、愛情があるからこそ無意識の中に生まれる葛藤があると思うんです。こういうことって実際にその環境じゃないと、分からないことだと思うんですが、今回この兄弟の関係を演じて、どういう感情が自分の中に生まれてくるのかもすごく楽しみですね。家族ってほんとに特別ですからね。別れても何があっても、絶対離れられない根本的なつながりといいますか。そこが家族の面白いところですし、全世界共通のことってそれしかないと思っているんですよね。

―では、満島さんの理想の家族とは?

みんなが健康で、何も特別なことが起きなくても「今日は空が青いね」ぐらいで笑っていられるような、尊重し合いながらそれぞれがそれぞれのままでいられる家庭を作っていきたいと思いますね。この作品もそうですが、崩壊していく家族の疑似体験ばっかりしているので、もういいかなぁ崩壊は(笑)。

―兵庫県での思い出はありますか?

俳優になる前、自転車で日本一周していたときに明石に行きました。日本標準時子午線の天文台のところまで行って「ああこれかあ」と思ってまた下っていったんですけど(笑)。神戸は品がありますよね。日本全国回ってみても、この雰囲気は他の都道府県には無いですね。京都の品ともまた違って、こうスッとしている感じ…。街の空気がだらけていないというか。関西は兵庫・大阪・京都・奈良など、それぞれ全然違うので面白いですね。空気の色とか匂いが全然違う!神戸はまた改めて行きたいと思っています。

―オフの日の過ごし方は?

遠くに出かけたりはせずに、喫茶店に行ったり公園を散歩したり、すごくシンプルに過ごしていますね。みんなでワイワイするよりも、誰かと二人で会話したりしてる方が楽しくて。その日に連絡が来た人を喫茶店に呼んで、ずっとお喋りしています。僕からはほとんど連絡しないんですけど、その時に求めてきた人と、みたいな感じです。

―最後に一言お願いします。

家族という、根本的で誰もが持っているものでも、何かきっかけが無いと向き合えないじゃないですか。そのきっかけとして、この作品を観た時に家族に対して思っていることを、改めて見つめてほしいですね。どんなことが起こっても、根底には優しい愛情があるということを、皆さんに知ってほしい。僕はこれを愛の物語だと思っていますので、愛を感じに来てほしいなと思います。是非、神戸から観に来て下さい。

Profile

<満島 真之介>
1989年5月30日生まれ、沖縄県出身。2010年舞台『おそるべき親たち』で俳優デビュー。連続テレビ小説『梅ちゃん先生』など多くのドラマに出演。2013年11月『風俗行ったら人生変わったwww』で映画初主演。2015年ドラマ『恋愛時代』メインキャストで出演。7月からドラマ『リスクの神様』に出演予定。