Interviewインタビュー

映画『Zアイランド』
哀川 翔さん × 品川 ヒロシ 監督 インタビュー

「本気なんだけどそれが“なんか面白い”。」

お笑いコンビ「品川庄司」としても活躍する、品川ヒロシ監督の最新作『Zアイランド』が5月16日に公開された。本作は、芸能生活30周年を迎えた哀川翔さんの通算111本目となる記念すべき主演作品。2人に本作の見所、撮影現場の裏側について話を聞いた。

―哀川さんは初めに脚本を読まれた時、どのような感想を持たれましたか?

哀川 最初にこの話を聞いた時に「ヤクザとゾンビが戦うって最高じゃん」って思いましたね。いろんな敵と戦ってきたんですけど、ゾンビと戦ったことないし(笑)。直感で「いいね!それでいこうよ!」ってすぐ決まりました。ゾンビが出てくるから「ゾンビ映画」だと思われるんですけど、あんまりそうは思ってなくて。ヤクザ対ゾンビの話ではあるんだけど、最終的には家族愛だったり、友情や恋愛とか、そういうところが描かれているので俺は人間ドラマだと思ってるんだよね。

―品川監督、本作は「人間ドラマだ」というお話がでましたが、監督的にはいかがですか?

品川 そうですね。子どもの頃に観てた、大衆演劇を映画の中に持ってきたような角川映画が好きで。そういう古き良き角川映画みたいな感じにしたいっていうのはありましたね。アメリカのゾンビ映画の場合、知り合いがゾンビになってしまった時って殺すか、鎖で繋いで生かすかっていう2択しかなくて。でもこの作品では、そうじゃなくて日本人の良さとか考え方、日本の美学っていうのを取り入れて表現しています。

―作中では思わず笑ってしまうシーンもたくさん出てきますよね。

品川 映画のタイプによっても違うんですけど、海外ではゾンビ映画って言ったら「イェーイ!」みたいなパーティ感覚なんですよ。この間、ブリュッセル(ブリュッセル・ファンタスティック国際映画祭)に出させていただいたんですけど、始まる前からみんな「フォー!」って言ったり、口笛吹いたりめっちゃ盛り上がってて。(宮川)大輔さんが出てくるシーンになると、みんな拍手して「おー!」みたいな(笑)。ゾンビ映画は、そういうノリで観るのが海外では普通なんですよね。そのノリはこの作品にも取り入れたかったんです。
哀川 なんで、宮川(大輔)と川島(邦裕《野性爆弾》)が登場しただけであんな面白くなるんだろうね(笑)。

―盛り上がって観られるようなシーンを意識して作られたんですね。

品川 そうですね。でも、今までの僕の映画って笑わせようと思って作ったシーンがいっぱいあって。まぁ今回も笑わせようって思っているんですけど、なんというか…。今回はギャグみたいなセリフを言って笑わせるんじゃなくて、ふざけてるわけではなく本気なんだけど、それが「なんか面白い」みたいな。あまり、ゾンビ映画の中でゾンビ映画の話をしないと思うんですけど、この作品では結構触れていたりするんですね。もし本当にゾンビが出たら、まずゾンビ映画を思い出すと思うし、誰かに「ゾンビが出た」って言われてもそんなに簡単には信じられないと思うんですよね。僕がもし遭遇してしまったら逃げる前に「これは速いゾンビなのか、遅いゾンビなのか」って一番に考えるだろうなって思って、この脚本を書く時に実はそのゾンビの設定を一番初めに考えたんです。実際に自分がそんな状況になったらどう考えるか、どう反応するのかというのを考えて作りましたね。
哀川 ネタバレになるからあまり言えないけど、般若のあのシーンは面白いよね。「どんだけボケてるんだよ!」って現場でも笑ってたんだけど、多分あれがゾンビと遭遇した人のリアクションなんだよね(笑)。それを大真面目に作中で演じたら、結果むちゃくちゃ面白いシーンになるんですよ。
品川 警察に電話で助けを求めるシーンもそうなんですよね。実際にゾンビが出て、それを信じてもらうように説明するのってすごく難しくて。ぜひみなさんも一回、シミュレーションしてみてください(笑)。

―撮影現場の雰囲気はいかがでしたか?

哀川 品川監督の台本は「こういう風に撮ります」じゃなくて「こう撮ります」って感じだから、はっきりしている分、脚本よりさらに面白いんだよね。道筋をきちんとたててくれているから演じる方もやりやすかったです。そして上手いんだよ、「今日はあなたが主役です」って言うんだもん。そんなこと言われたら役者、燃えるよね?
品川 (笑)
哀川 それでみんな良い芝居するんですよ。主役が俺じゃない日は、居るとうるさいから「あそこに良い漁場がありますよ。釣りでもしててください」っていうんだから。(一同笑)それで気持ちよく釣ってたら「すみません、そこ見切れてるからどいてください」とか言われて(笑)。
品川 あの時、アジ50匹ぐらい釣ってましたよね。
哀川 あの時入れ食いだったんだよ。まぁそんなこともありながら、ストレスのない楽しい現場でしたよ。毎晩宴会してたしね。
品川 だいたい9時ぐらいに翔さんがトランプで手品をはじめて、眠たくなってトランプを落としたら「はい、終わり。帰りましょう」みたいな(笑)。島なので12時ぐらいまでしか店が開いてないこともあって、毎晩宴会なんだけど深酒にはならなくて、ちょうど良かったですね。あと、撮影期間の1日の朝に雨が降っただけで、ずっと晴れてて。佐渡の人も天気が良すぎてびっくりするくらい、天気にも恵まれていましたね。
哀川 おかげでちょっと早く起きて、撮影前にずっと釣りできたよ(笑)。佐渡は本当に良い漁場で、島のほとんど回ったね。6月は特にばっちりな時期だから、ノドグロとかトビウオの刺身とか本当美味しかったんですよ。そんなことしてたら、「佐渡観光さかな大使」に任命されて、佐渡の市長から賞状と一緒にでっかい鯛をもらいました。
品川 あまりにもノドグロが美味しかったからか、「映画のタイトルを“ノドグロ”にしよ」って言い出して。結構本気で1週間ぐらい言ってるから「それは意味わかんないから、ダメです」って必死で止めたんですよ(笑)。
哀川 いい案だと思ったんだけどね。却下されちゃったよ。(一同笑)

―あのラストシーンは、最初から決めてたんですか?

品川 ラストシーンは最初には決まってなくて、すごく悩みましたね。どうしようって考えながら毎日寝てたんですけど、ある日の夜中に急に思いついて「これだ!」ってなったんです。飛び起きて、パソコンに急いで書き込みました。その前にひらめいた案もあったんですけど、大悟《千鳥》にそれが現実的かどうかを電話して聞いたら「誰に何の質問してんすか」って言われて、結局それは難しいなって(笑)。その他にもいろんな案を考えたんですけど、やっぱり映画のオチなので見栄えのするものが良かったし、あのラストシーンに行き着きました。

―本作の続編は考えていますか?

品川 そうですね。生き残った人がいるので、本土に渡ってきたっていうのをやりたいです。3部作ぐらい撮れたらいいなって思ってて、最終的にはハワイに行きたいですね(笑)。本当のところで言うと、予算の関係で島にしたっていう部分もあるので、次やるとしても、予算を聞いてから行き先を決めることになると思います(笑)。

Profile

<哀川翔>
1961年生まれ、鹿児島県出身。84年に「一世風靡セピア」の一員としてデビュー。88年TVドラマ『とんぼ』に出演して一躍脚光を浴びる。90年、東映Vシネマ『ネオ・チンピラ・鉄砲玉ぴゅ~』が大ヒット、『とられてたまるか!』『ろくでなし』などヒットシリーズを生み、“Vシネマの帝王”と呼ばれる。品川監督作品には、『ドロップ』(09)、『サンブンノイチ』(14)に出演。

<品川ヒロシ>
1972年、東京都出身。95年にお笑いコンビ「品川庄司」を結成。06年に自らの経験を綴った小説『ドロップ』を刊行、翌年コミック化、09年には自ら監督・脚本を手掛け、その手腕が高く評価された。同年書き下ろし第二弾『漫才ギャング』を刊行し、11年に映画化。14年には3作目となる『サンブンノイチ』を手掛けるなど、映画監督としての地位を確立する。【インスタグラム】shinashina0426

Storyストーリー

©2015「Zアイランド」製作委員会

Zアイランド [PG12]

【監督・脚本】品川ヒロシ
【出演】哀川翔、鈴木砂羽、木村祐一、宮川大輔、RED RICE ほか

勝つのは人か—、それとも“Z”か—。

10年前、敵対する竹下組との抗争で組が解散に追い込まれた宗形博也。服役している弟分・武史に代わり、武史の娘・日向の面倒を見ながら運送業を営んでいた。しかし、武史の出所が決まると、父親に会いたくないと日向が家出。宗形と武史たちは日向を追って銭荷島に向かうことになるが、そこには謎の病気が広まっていた。突如発生した“謎の感染者”が次々と島民を襲い始め…。

Zアイランド [PG12]の公開情報

公開日 2015年5月16日(土)
監督・脚本 品川ヒロシ
出演 哀川翔、鈴木砂羽、木村祐一、宮川大輔、RED RICE ほか
公式サイト http://www.z-island.jp/