Interviewインタビュー

映画『まほろ駅前狂騒曲』瑛太さん、松田龍平さん インタビュー

“10年以上の仲だけど共演者としての距離感が多田と行天の微妙な距離感にも繋がってるんじゃないかな。”

直木賞作家「三浦しをん」が生み出した、まほろ駅前シリーズ。映画『まほろ駅前多田便利軒』、ドラマ『まほろ駅前番外地』に続き、最新原作『まほろ駅前狂騒曲』が10月18日に公開された。プライベートでも仲が良いという、多田啓介役の「瑛太」と行天春彦役の「松田龍平」に、本作の見所から撮影の裏話までを語ってもらった。

―映画では第二弾となる『まほろ駅前狂騒曲』の見所は?

松田 前作の映画と繋がっている部分があって、今回も親と子の話なんですね。多田は子どもをすぐに亡くしてしまい、行天は実の親に愛されずに育ったという過去を持っていて。子どもに対する抵抗がある中で「子どもを預かる」という依頼に、どう接したらいいのか、どう育てたらいいのかを考えながら立ち向かう姿を見て欲しいですかね。あとは、多田と行天の関係性にも注目してほしいです。多田の中で行天という存在はモヤっとしたもので、改めて「行天とはなんだ」って多田が考えた時にこんなに近くにいたのに意外に知らないことに気づくんですね。そんな人間の曖昧さも重視して描いているのかなって思います。
瑛太 今までは話がどんどん展開していくものだったんですけど、今回は割とゆっくりで。行天が自分の過去と向き合わざるを得ない状況に多田が導いていって…それぞれトラウマを抱えている二人が、上辺ではなく深い部分で初めて向き合う姿を見て欲しいです。

―一番はじめに撮影された映画『まほろ駅前多田便利軒』の時と比べて、役作りにおいて変化はありましたか?

瑛太 『まほろ駅前多田便利軒』を撮影した時は、初めてだったので多田はこういう行動をするんじゃないか、こういう表情はしないんじゃないかといろいろ考えていましたね。でも、シリーズで回数を重ねていくうちに、考えなくても自然に演技できるようになっていきました。その次に撮影したドラマシリーズでは、映画とはちょっと違って、多田と行天の二人の生活を楽しい感じでポップに描いてあるんですね。そこで、多田のいろんな側面を見せられる演出があったからこそ、自分の中での捉え方が変わって…柏木さんに電話をする練習をしていたりだとか、行天に話かける一言を練習をしていたりだとか。そういう、より人間っぽくなった多田を意識しました。多田を演じる上での制約がなくなったというか…これはしてはいけない、と思うことがなくなりましたね。思ったままにやってみて、監督がどう判断するかで演じていました。
松田 はじめは、どうなるかなって思いながら恐る恐るやってた部分があったんですけど、今回は地に足がついたという感じで演じれましたね。でも、キャラクターがある程度完成した今の段階で、そこにプラスするとしたら何ができるかというところのプレッシャーがありました。同じことをやっていてもつまらないという思いと、でも何かを付け加えるのが正しいのかどうかという思いで葛藤しました。今回演じる上で意識した点でいえば、全体的に上手くいってないような行天ですね。いつもの行天じゃないなって感じてもらえたらいいなと思います。

―ドラマと映画では、同じ作品でも役作りや描き方が違ったんですね。

松田 そうですね。ドラマの時の多田は激しくつっこんでくれるんですけど、今回の映画ではそうじゃなくて。僕にとって、それが逆に刺激的でしたね。ドラマは、前作の映画を撮ってみて、多田と行天の二人のキャッチボールを視点にしたものをまた作れたらいいなと思っていた時に決まったものだったので、できて嬉しかったです。

―プライベートでも仲が良いそうですが、現場での撮影の雰囲気は?

松田 お互いの性格上、馴れ合いな感じにはならないですね。意識しているわけじゃないんですけど、共演者としてのいい距離感を保ってます。そこが、多田と行天の微妙な距離感にも繋がってるんじゃないかなって思いますね。
瑛太 十年以上の付き合いでよく知ってるので、何となく龍平の気分とかは分かりますね。

―レギュラーメンバーが出演されていますが、撮影現場で思い出に残っていることは?

瑛太 真木よう子さんは多田と恋仲になっていくんですけど、いろいろあってはじめに予定されていたキスシーンがなくなってしまったんですね。
松田 あったほうが良かったのに(笑)。
瑛太 キスシーンには映画としてのキャッチーさがあるので、それがなくなったのは残念でしたね。まぁ、ベッドシーンはあるんですけど。
松田 そのキャッチーさ欲しかったな…(笑)。ポスターも、ラブストーリーに特化させる形で瑛太と真木さんがでかでかと載るイメージだったんですけどね。
瑛太 あとは、新井くん(新井浩文)が違う役として今回も出演していましたね。新井くんが撮影で僕らはその日撮影はなかったんですけど、龍平と二人で見に行こうかって話してて。それを噂で聞いていた新井くんが、その日の撮影中ずっと僕らが来ると思って緊張していたらしいです。まぁ結果、僕ら行かなかったんですけどね(笑)。

―お気に入りのシーンを教えてください。

瑛太 行天が塾の先生を装うシーンがあるんですけど、行天を演じながら塾の先生を演じる、ダブル演技みたいな時の龍平が好きです。更に行天感が増すっていうか。あれは龍平にしかできない演技だなって思いますね。
松田 ありがとうございます、褒めていただいて(笑)。

―撮影が大変だったなど、印象に残っているシーンはありますか?

松田 バスジャックのシーンはすごく大変でした。その撮影の日に大雪が降ってしまって、バスの外が映せなかったんですね。ほとんどあおりで撮るっていう撮影で、嘘でしょって思いながら、長時間やっていました。あと印象に残っていることで言えば、やっぱり多田がキスしなかったことですね(一同笑)。それが悔しくてしょうがないです。
瑛太 そんな大したことじゃないよ(笑)。
松田 本当にそのシーンを楽しみにしてたから、大森さん(大森立嗣監督)勘弁してよって思ってましたね。

Profile

<瑛太>
1982年、東京都出身。『青い春』(02)のオバケ役で映画デビュー。『ディア・ドクター』(09)をはじめ『余命1ヶ月の花嫁』(09)『ガマの油』(09)『なくもんか』(09)などの作品で日本アカデミー賞、報知映画賞、ブルーリボン賞を含む数々の助演男優賞に輝く。ドラマ「ラッキーセブン」(12)「最高の離婚」(13)「若者たち」(14)などの話題作に出演、数多くの放送賞を受賞してきた演技力には定評がある。近年は「ロンサム・ウェスト」(14)といった舞台にも活動の場を広げている。

<松田龍平>
1983年、東京都出身。『御法度』(99)でデビュー。『舟を編む』(13)では日本アカデミー賞ほか報知映画賞、日刊スポーツ映画大賞、キネマ旬報ベスト・テンなど多数の主演男優賞を総なめ。同作で日本アカデミー賞、ブルーリボン賞をはじめとする新人賞を軒並み受賞する。同年は舞台「メカロックオペラR2C2」(09)でタッグを組んだ、宮藤官九郎の脚本によるNHKの朝ドラ「あまちゃん」での好演も話題に。今後はインドネシアで撮影した『ザ・レイド GOKUDO』(14・11月公開予定)などの公開を控える。

Storyストーリー

まほろ駅前狂騒曲

【監督】大森立嗣
【脚本】大森立嗣、黒住光
【原作】三浦しをん「まほろ駅前狂騒曲」(文藝春秋刊)
【出演】瑛太、松田龍平、高良健吾、真木よう子、永瀬正敏 ほか

俺たちパパになってもいいですか?

まほろ市で小さな便利屋を営む多田啓介(瑛太)のもとに、変わり者の同級生・行天春彦(松田龍平)が転がり込んできてから3年目、多田便利軒には相変わらずあくが強い客や奇妙な依頼が舞い込んでいた。多田は行天の元妻(本上まなみ)から、行天さえも会ったことがない彼の実娘はる(岩崎未来)の子守りを依頼されてしまう。一方、まほろ市の裏組織の人間である星(高良健吾)から、駅前で毎日のようにビラ配りをする怪しい団体「家庭と健康食品協会」の調査を依頼される。かつてない厄介な依頼に悪戦苦闘するなか、バスジャック事件にまで巻きこまれてしまい……。

まほろ駅前狂騒曲の公開情報

公開日 2014年10月18日(土)
監督 大森立嗣
脚本 大森立嗣、黒住光
原作 三浦しをん「まほろ駅前狂騒曲」(文藝春秋刊)
出演 瑛太、松田龍平、高良健吾、真木よう子、永瀬正敏 ほか
公式サイト http://www.mahoro-movie.jp/