Interviewインタビュー

映画『大鹿村騒動記』
松 たか子さん 阪本順治監督インタビュー

こんな凄い人たちが集まって、どんなことになるんだろうという興味が最初にありましたね。

美しき日本の山村で大鹿歌舞伎を守ってきた人たちのホロ苦くもオカシミあふれる群像劇。名優・原田芳雄が「どうしても演っておきたかった」という珠玉の人間ドラマ『大鹿村騒動記』。豪華な出演者の中より松たか子さんと阪本監督に作品について語っていただきました。

―豪華な出演者で驚きました!

阪本:でも思いっきり肩に力入りましたよ。特に主役の原田さんと向き合ったのはスリルありました。例えば、台本見せて「この台詞なんですけど…」って言ったら「あ、その台詞?言わない!」って!?「え!?言わないんですか!ちょっと待ってくださいよ」(一同爆笑)。だからセットの隅で辞めてたタバコも吸い始めたり(苦笑)。でも現場に緊張感はあったんですが、やろうとしていることは悲劇も喜劇も含めて、原田さん曰く「人に明るくなってもらう映画」だということなんです。

―そんな現場はいかがでしたか?

松:メイキングを同時に撮ってたらと思うくらいずっと面白かったです!何が起きるか分からない緊張感で、でもそれはいやな緊張感ではなかったです。歌舞伎の舞台裏でも私を村の人の想定にして石橋蓮司さんが話かけてくるんです。「女優になりてんだろ!映画に出してやっから」って(一同爆笑)。そこで過ごしていることが芝居をしていることぐらいの自然な流れだったんです。切り替えはそれぞれあるとは思うんですが、でも全てが自然に見える…あたり前ですけど、みなさん上手な方ばかりで、完成したものを見てさらにご一緒できてよかったなと思いました。

―大鹿歌舞伎のお話は主演の原田さんが提案されたとか?

阪本:芳雄さんと初めて仕事して、22年間で6本出演してもらったんですが、以来、芳雄さん家で御飯とお酒をよばれる度に「お前とは主役と監督の関係で1本もやったことがない!」って言い切るんです(一同笑)。「じゃぁ…やりますよ!」ってことになって、今何をしたいか芳雄さんに聞くと大鹿歌舞伎の写真集と大鹿村の観光マップを渡されて「この舞台に立ってみたいんだ」と言われたんです。

―松さんは、なぜ出演されようと?

松:話自体が面白そうだなと思ったし、監督とも初めてでしたし、何でもいいから参加してみたかったです。こんな凄い人たちが集まって、どんなことになるんだろうという興味が最初にありましたね。

―テストなしの撮影で大変だったことは?

阪本:芳雄さんは「俺が頭で内容を理解しないうちに本番いってくれ」と言ってました。だから自分もわけ分かんない内に「本番!」って(一同爆笑)。なんかひっかかるんだけど、何かうまれるかもしれない。
松:そうだったんですね(笑)。
阪本:岸部さんと芳雄さんが話して、岸部さんが出ていって松さんが入ってくるシーンはテストなしだったよね?
松:それ、私撮影初日だったんです。ワンカットで撮るので、とても緊張しました。でもよく考えると、確かに分かんないうちに本番になってました!あれ?本番なのかな?でも外で一徳さんが股引姿で待ってるから止めちゃダメと思いながら(一同笑)。面白いアドリブが出ることに近いハプニングの連続でした。
阪本:あの時の松さんのリアクションが本当にわけ分かんないまま本番いってる感じで凄い自然でよかったです(一同笑)。
松:でもそんな風にできたのは、監督や芳雄さんのおかげだと思うんです。距離が縮まったり、引いたりすることで演技が固まることがなかったんですよね。例え何回やっても固まらない方達なんでしょうけど。

―歌舞伎のシーンはいかがでしたか?

松:撮影の前に本物を一度拝見しましたが、その時の熱気やお客さんがリラックスして楽しんでる風景に今回の作品も近いものがありました。そして村の人から教わって作りあげた舞台が本来の大鹿歌舞伎の良さを出しているように見えました。

―最後にメッセージをお願いします。

阪本:スケジュールもスタッフもギリギリ最小限で作った本作は「撮影そのものが一つの騒動記」でした。だからこそ、みんなで一丸になるしかなかった。役者・スタッフ、さらに全面的に協力してくださった大鹿村の方々が一緒になって濃密な2週間を過ごしたことが、この悲喜こもごもの喜劇にある贅沢な手触りを加えてくれた気がします。願わくば、それを堪能してもらえると嬉しいですね。

Profile

<マツタカコ>
1977年、東京都出身。94年NHK大河『花の乱』でドラマデビュー。以後、映画・舞台・ドラマ・歌手と幅広い分野で活躍。『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』は日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。『告白』など多数作品に出演、高い評価を得ている。

<サカモトジュンジ>
1958年大阪府出身。89年、長編デビュー作『どついたるねん』でブルーリボン賞作品賞を受賞。その後も『顔』、『闇の子供たち』など常に新しい作品世界に挑戦している。

Storyストーリー

©2011「大鹿村騒動記」製作委員会

大鹿村騒動記

【企画・監督】阪本順治
【出演】原田芳雄/大楠道代/岸部一徳/松たか子/佐藤浩市/三國連太郎 他

雄大な南アルプスの麓にある大鹿村。シカ料理店を営む風祭善(原田芳雄)は、300年以上の歴史を持つ村歌舞伎の花形役者。そんなある日、公演5日前に18年前に駆け落ちした妻・貴子(大楠道代)と幼なじみの治(岸部一徳)が帰ってきた。強がりながら心乱れる善は芝居をなげだしてしまう…。300年の伝統は途切れてしまうのか…!

大鹿村騒動記の公開情報

公開 絶賛公開中
企画・監督 阪本順治
出演 原田芳雄/大楠道代/岸部一徳/松たか子/佐藤浩市/三國連太郎 他
劇場 シネ・リーブル神戸他